「チップ」っていう言葉は聞いたことがあるけど、なんであるのか、どうやって渡したらいいのか、そこまでは詳しく知らない...
そんな方は多いのではないでしょうか。
知っているようで知らない「チップ」。
今回は、そんな「チップ」について詳しくまとめていきます!
この機会に、正しい知識を身につけて、不安なく海外旅行に行きましょう!
1アメリカ行くなら知っとくべき!チップとは?
アメリカ有数のリゾート地であるハワイやグアム。卒業旅行や新婚旅行、長期休暇などで、ハワイやグアムに行こうという計画を練っている人も多いのではないでしょうか。
照りつける日差し、薫る潮風、ホテルの窓から見渡す絶景、思い出に残したいインスタ映えスポット、新鮮なシーフード料理、甘くてとろけるデザート、思い起すだけで胸が高鳴ります。
また、ハワイやグアムでなくても、アメリカ本土に旅行を考えている人もいるかと思います。
なかなか頻繁に行けない海外旅行です。しっかり準備を整えて、万全を期して当日を迎えましょう。
ですが、その前にちょっと待ってください。アメリカには「チップ」という文化や仕組みがあるのをご存じでしょうか。「チップ」という仕組みについて理解しておかないと、アメリカに行ってから少し困ることが多くなります。
ここでは、「チップ」について詳しくご紹介していきます。この機会に、「チップ」に対する正しい知識を身につけて、より良い海外旅行にしていきましょう。
チップの歴史
チップの歴史は古く、さまざまな説が言われていて、今でも議論が続いています。ここでは、チップの歴史や語源にまつわる説を3つご紹介します。
最も有名なのが、18世紀イギリスのパブの話です。当時、イギリスのパブでは、サービスを早く受けたい人のためにある箱が設置されていました。
その箱には「To Insure Promptness」という言葉が書かれていました。
これは、「素早いサービスを保証します」という意味の言葉です。
お客さんがその箱にお金を入れ始めたことがチップの由来と言われています。
また、「To Insure Promptness」のイニシャルをとると「TIP」という言葉になるのに気がつくと思います。
これが最も有力と言われている説です。
2つ目に、フランスやドイツを起源とした説です。
チップという言葉はフランス語でpourboire、ドイツ語でtrinkgeldと言います。
どちらも、お酒を飲むためのお金という意味です。
サービスしてくれる人を気遣い、このお金で1杯飲んでください、とちょっとした金銭を渡したことが始まりと言われています。
最後に、コーヒーハウスを起源とした説です。
コーヒーハウスにしんちゅうでできた箱が置かれており、店員のためにコインを入れられるような仕組みがもともとありました。その箱にも「To Insure Promptness」という言葉が印字されていたようです。
以上、3つの説をご紹介していきましたが、発音としては、「tap」という軽打という意味合いの言葉や、「top」という先端という言葉に関係があるとも言われており、その真偽は明らかになっていません。
なぜアメリカにはチップを払う習慣があるのか
アメリカでチップを払う習慣があるのには、5つの理由があります。
1つ目に、感謝の意を表すためです。
チップとは言い換えるならば、サービスに対する心づけです。お互いの価値観でサービスを評価して、そのサービスに見合ったお金を支払おうという、自由の国アメリカらしい文化です。
店員などのサービスを提供する側は、チップが少しでも多くもらえるように努力します。反対に、サービスを受ける側は、感謝の意を表して心づけであるチップを渡します。
そこで、ギブアンドテイクが成り立ち、お互いに気持ちよく笑顔でサービスの授受を終えることができます。いかにもアメリカらしい仕組みです。
2つ目に、チップは義務だからです。
アメリカ人は、受けたサービスに対して多少不満があったとしても必ずチップを渡します。
それは、チップは任意で渡すものではなく、義務として渡すものだからです。そもそも、チップ文化のある国では、食事代や宿泊費にサービス料が含まれていません。
そのサービス料は、直接ウェイトレスやホテルマンに支払わなければならないのです。
また、チップという仕組みがあるために、レストランやホテルのいわゆるサービス業の従業員の給料は、低く設定されています。
つまり、チップをもらわないと従業員は生活していけないのです。
チップには納税時の申告義務もあり、仕組みがしっかり整っています。以上のことから、よほどのことがない限りチップは払わなければなりません。
3つ目に、良好な関係を築くためというのがあります。
行きつけのレストランや美容院のように、今後も同じ人と付き合っていくということがあります。一期一会のサービスとは違い、相手と良好な関係を作り、より良いサービスを継続して受けたいと思うのは当然のことです。
親切なウェイトレスや腕の良いヘアーリストに出会えた時は、より丁寧な対応を期待してチップを渡しましょう。
チップを渡して歓迎される客になることで、得られる恩恵は大きくなります。
4つ目に、気まずい雰囲気になるのを避けるためということがあります。
チップを渡さない場合、サービス側は不満に思いますし、「自分の仕事の何がいけなかったのだろう」と思ってしまいます。
それだけでも、お互いの関係に亀裂が走ります。
お互いに気持ちの良い時間を過ごすためにも、チップは渡す方がいいでしょう。
最後に、カッコつけるためというのがあります。
例えば、デート中にさりげなく店員にチップをあげる彼氏と、全くチップをあげない彼氏がいた場合、どちらがスマートに見えるでしょうか。
彼女目線だけではなく、周囲の目からみても、チップを渡す人の方がより格好良くみえます。
格好良くスマートでいるためにも、チップは払った方がいいでしょう。
チップを払わない場合、どうなる?
もし、然るべき所でチップを払わなかった場合、どうなるのでしょうか。
例えば、レストランでウェイトレスにチップを渡さない場合を考えてみましょう。
おそらく、笑顔での接客はなくなります。常に不機嫌な接客をされるでしょう。
また、席においても窓際ではなく端の方に案内されたり、狭く小さなテーブルに案内されたりと、雑な対応を受けてしまうでしょう。
今度は、タクシーで考えてみます。
目的地から少し離れた所に止まったり、車から降りても荷物を降ろしてくれなかったりという対応を受ける可能性があります。
2これは知りたい!チップの心得4選
ここでは、ぜひ知っておきたいチップの心得を4つご紹介していきます。
チップについてもう少し深く掘り下げていきましょう。
無料のサービスはない!
そもそもチップ文化のある国では、食事代や宿泊費にサービス料が含まれていません。
その足りない分のサービス料を、直接ウェイトレスやホテルマンに支払うのです。
日本では、サービス料は無料という考えが浸透しています。
しかし、実際はそうではありません。
日本では、「食事代+サービス料=料金」または「宿泊費+サービス料=料金」となっているのです。
料金の中にきちんとサービス料が含まれています。
これが、日本人がチップ制度を理解しにくい原因になっています。この際に、サービス料は無料ではないということを覚えておきましょう。
チップは「支払い」ではなく「気持ち」
チップを支払うのは嫌だなとか、痛い出費だなと思うかもしれません。
チップを「支払い」と捉えているとそう感じるかもしれません。
しかし、チップはサービスに対する心づけです。
つまり、「気持ち」だということです。
サービスを提供してくれる人に対して、感謝の気持ちを込めてチップを渡すようにしましょう。
チップを渡そうか悩んだらとりあえず渡しとこう!
チップを渡す場面はさまざまです。こういう時は渡すべきなのかな~と迷うことも出てくるかもしれません。
そういう場面で大切な言葉が、「悩むなら渡しておこう」です。
チップは感謝の気持ちです。チップを渡そうか渡さないか迷った際は、快く渡しましょう。
すると、お互いに気持ちの良いサービスの授受が成立します。
また、その他にも大切な言葉があります。「金額は少し多めに」「事前に渡す」の2つです。
チップを渡す際は、サービスを受ける前に少し多めの金額を渡しましょう。
そうすることで、円滑にサービスが進んでいき、より良い接客を受けることができます。
「悩むなら渡しておこう」「金額は少し多めに」「事前に渡す」の3つ、覚えておいてください。
財布から直接チップを取り出すのはNG
基本的に、財布からチップを出すのはNGとなっています。
なぜなら、格好悪いからです。
アメリカでは、財布からチップを出すのは格好悪く見えるようです。またその他にも、無防備に見えたり、店員から値踏みされたりする場合があります。
自分を守るという意味でも、チップは財布からではなく、ポケットなどから出す方がいいでしょう。
3チップの渡し方
ここでは、チップの渡し方について詳しく解説していきます。
正しいチップの渡し方を身につけて、よりスマートな海外旅行にしていきましょう。
コインではなくお札で渡すのが基本
一般的に、チップをコインで渡すのは失礼に当たる行為とされています。
日本で考えてみても、小銭ばかりたまっていくのは嫌ですよね。アメリカでも同じです。
また、チップを紙幣で渡すとき、三つ折りにしておくとより丁寧です。
ポケットにも入りやすいので、三つ折りにしておくのは非常におすすめです。
チップはあらかじめポケットに用意しておこう
チップはあらかじめポケットに入れておきましょう。
ポケットからチップを取り出すのが一番スマートです。
財布から取り出すのだけは絶対にやめましょう。
アメリカの場合チップ用に1ドル札は必須
チップの相場から考えても、チップには1ドル札が必須です。
しかし、現地に行ってから1ドル札ばかり集めるのは至難の業です。
飛行機に乗る前に、日本で両替をしておくなど、1ドル札を多めに準備しておきましょう。
チップ用にクリップでまとめておくか、三つ折りにして保管しておくのがおすすめです。
「お釣りはいりません」これが一番簡単!
ストックしていた1ドル札がなくなってしまった。どうしよう、チップが払えない。
そんな時におすすめなのが、お釣りをチップとして渡す方法です。これが一番簡単な方法です。
まず、提示された伝票を確認します。「TIP」や「GRATUITY」という項目をチェックしましょう。
ちなみに、「GRATUITY」というのは「心づけ、祝儀、チップ」という意味です。
この2項目があれば、料金にサービス料が含まれているということです。
なので、チップの支払いは必要ありません。
そういったお店も増えてきているので、必ずチェックして二重払いに注意しましょう。
「TIP」や「GRATUITY」という項目がなければ、チップを払う必要があります。
例えば、合計が20ドルだったとしましょう。そこで、24ドル支払います。
そして、お釣りはいらないということを伝えます。これで、チップを払ったことになるのです。
「お釣りはいらない」という日本語を英語にすると、「Keep the change, please.」「I don`t need change.」「I give you change.」などとなるので、覚えておくといいでしょう。
クレジットカードでチップを払うことも?
もちろん、クレジットカードでチップを支払うことも可能です。
伝票を受け取ったら、チップ分も加算して金額を再度提示しましょう。
伝票にチップ欄があるので、そこに金額を書くだけで大丈夫です。
クレジットカードならチップの支払いでもポイントが貯まる!
やはりチップは現金、という考えが頭のどこかにあります。
ですが、クレジットカードでチップを払えば、チップ分のポイントも手に入ります。
楽天カードの楽天ポイントなどが有名でしょう。可能な限りクレジットカードで支払いを済ませて、どんどんポイントをためていきましょう。
4場面別チップ相場とチップを渡さなくてもよい場面
ここでは、チップを渡すべき場面、渡さなくてよい場面の両方をご紹介していきます。
どちらか迷った時には、ぜひ参考にしてみてください。
また、チップ額の相場も載せているので、これも参考にしてみてください。
チップを渡すべき場面
まず、チップを渡すべき場面についてご紹介していきます。
タクシー
荷物の手渡し、手降ろしで1ドル必要です。
また、下車時に料金の15~20%を支払いましょう。
レストラン・バー
レストランでは、店員が注文を取りに来て、料理の上げ下げをしてくれたら必要です。
料金の15~20%を支払いましょう。10%は失礼に当たるのでやめておきましょう。
ビュッフェ形式のお店は10%でも大丈夫です。
バーでは、1杯につき1~5ドルをバーテンダーに手渡ししましょう。
ホテル
荷物運び(ポーター)には荷物1個につき1ドル必要です。
ドアマンには1~2ドル支払いましょう。
ベッドメイキングには、1泊1ベッドにつき1ドル必要です。枕元やテーブルの上に置いておくとよいでしょう。客室清掃係は毎日変わるため、まとめてのチップの支払いはやめましょう。
駐車場
Valet Parkingと呼ばれる駐車場係がいる駐車場では1台につき1~5ドル必要です。
車を引き取る際に係員に手渡ししましょう。
美容院・サロン
料金の15~20%が必要です。
フードデリバリーサービス
ねぎらいの意味を込めて配達員に10~15%のチップを支払いましょう。
宅配便などには払う必要がないので、混同しないようにしましょう。
ツアーガイド
1日の感謝を込めて、ツアー後にガイド代として5~15ドル支払いましょう。
カジノのディーラー
チップの相場はありません。
勝った分だけ自由に手渡ししましょう。
集まったチップはディーラーで山分けされるようになっているので、不正行為などは起きないようになっています。
ストリップクラブ
チップの相場はありません。
チップをはずむことで、ダンサーが自分のために踊ってくれることがあります。
チップはダンサーの股や下着に挟んだり、ステージに投げ入れたりする形式が多いようです。
チップを渡さなくても良い場面
受けたサービスがどうしても納得のいかない時、一方的な過剰サービスなどがあった場合は、チップを払わなくても大丈夫です。
その他には、以下のような場面が考えられます。
ファストフード
自分で購入したものを席まで持って行き、ゴミやトレーも自分で捨てるなどの場合は、チップを支払う必要はありません。
あらかじめサービス料が含まれている場合
チップを料金の中に含めているレストランや、宅配便などはチップを支払う必要はありません。
ツアー利用時の各種サービス
パックツアーなどはまとめて荷物を運んだりするので、チップは必要ありません。
サービス料が料金の中に含まれているパターンです。
5日本国内でチップは必要なのか
チップ文化は、欧米や中東を中心とした文化です。
ですが近年、アジアの高級ホテルやレストランでもチップの仕組みを取り入れている所が増えてきています。
では、日本ではどうなのでしょうか。
日本のチップ事情
残念ながら、日本ではチップを払うという仕組みはほとんど普及していません。
それは、「サービス=無料」という文化が根強いからです。
一部の高級ホテルや旅館、レストランなどではチップ制度が設けられてますが、支払うのは一部の富裕層のみです。
一般庶民には縁がないでしょう。
6まとめ
いかがだったでしょうか。今回はチップについてまとめていきました。
人と人とのつながりを大切にする、アメリカならではの文化かもしれないですね。
海外旅行に行った際は、ぜひ華麗にさりげなくチップを渡して、スマートに過ごしていきましょう。